URL、ドメインに関する商標問題

 URL中に登録商標が含まれるようなケースで商標権侵害となるか否かはケースバイケースです。また、ドメイン名の部分に他人の登録商標を使用している場合には商標権侵害の他、不正競争防止法に基づいて差止請求等が可能となる場合があります。URLとドメイン名を混同している方もいらっしゃいますので、ドメイン名とURLの関係を最初に説明し、その後、URLに関する商標権侵害の考え方を説明します。

ドメイン名

ドメイン名とは、インターネット上の住所表示のようなものであり、より詳細に言えば、インターネット上のコンピューターに対して数字として割り振られた場所を特定するためのIPアドレスを文字列に置き換えたものをいいます。不正競争防止法2条9項においてもこれを包含するような定義規定が設けられております。

 不正競争防止法2条9項

   この法律において「ドメイン名」とは、インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合をいう

  そしてホームページアドレス(URL)の場合のドメイン名とは、「http://」の後の通信形態を意味する「www」の第4レベルドメインから、第3レベルドメイン、第2レベルドメイン、そして、分野別(gTLD: generic TLD、たとえば.com)と国コード別(ccTLD: country code TLD、たとえば.jp)が存在するトップレベルドメイン(TLD)までの文字列を意味します。実際、民事裁判においても、ドメイン名について裁判所はJACCS事件において以下のように判示しております。

 「ドメイン名は、例えば、「http://www.abc.co.jp」のように表記され、この場合、「jp」の部分が第一レベルドメインであり、右例では日本を意味し、「co」の部分が第二レベルドメインであり、登録者の組織属性を示しており、右例では一般企業を意味し、「abc」の部分が第三レベルドメインであり、「http://www.」の部分は通信手段を示している(なお、本件では、第三レベルドメインをドメイン名と呼ぶ場合もある。)。」

  以上説明したとおり、ドメイン名はURLの一部であってイコールではありません。他人のドメイン名と同一類似のドメイン名を不正目的で取得等すれば、商標権侵害の理屈ではなく、不正競争防止法に基づいて対応が可能となります。他方で、URL中のドメイン名以外の部分に登録商標と同一類似の表記が使用されているようなケースや、不正目的まで立証できないような場合には、商標法に基づいて商標権侵害という構成で攻めることになります。

 

 

URL,ドメインに関する権利侵害

 URLは、通常は単にインターネット上のサイトの位置情報を表わすためのものに過ぎず(住所表示のようなもの)、URL中に登録商標を含んでいたとしても(ドメイン自体が登録商標、またドメイン以外の部分に登録商標等が含まれるケース)、原則として商標権侵害の問題は生じませんが、例外的に侵害となるケースも存在します。

 たとえば前記のJACCS事件では、不正競争防止法の事案ですが一般論として、「ドメイン名の登録者がその開設するホームページにおいて商品の販売や役務の提供をするときには、ドメイン名が当該ホームページにおいて表れる商品や役務の出所を識別する機能を具備する場合がある」と述べられ、また、別の事件であるヨーデル事件においても、「当該URLの文字列における使用も、商標としての使用に該当すると考える余地がある。」と述べられ、いずれもドメインやURLの使用が商標権侵害や不正競争防止法違反となる可能性があることを示唆しております。

 商標権侵害(不正競争防止法違反)となるかは事案に応じてケースバイケースとしか言えませんが、URL中の特定の一部分がHP中のコンテンツの内容と相まって、自分の商品やサービスと他人の商品やサービスと区別する機能を発揮するようなケースではやはり権利侵害になり得ると言えます。たとえば、HP中に大きな文字でURL中と同一の表記を用いて、商品やサービスの宣伝広告をしているような場合や、明らかにHP中で当該文字の名声にただ乗りして宣伝広告しているようなケースには侵害とされることもあるでしょう。商標権侵害か否かについては、URL中のどの部分に登録商標と同一類似の表記があるのか、URL中の他の表記との相対関係、URLで表示されるコンテンツの内容、コンテンツ中の登録商標と同一類似標記の使用のされ方、URL中の表記が検索順位へとどう影響しているのか、などが総合的に検討され、URL中の表記が自他商品識別機能を発揮しているということになれば、商標権侵害となるといえるでしょう。

ページトップへ