商標権の譲渡

 GUM11_CL03058商標権は財産権のため、原則として自由に譲渡することができます。事業に伴わない商標権だけの譲渡、事業と共に行う商標権の譲渡(事業と共に譲り受ける)があります。

 前者としては、たとえば、他人に先に取得されていた登録商標を自らが使用したいようなケースや、出願中の商標と同一類似の先行商標を譲渡してもらい、拒絶を回避するようなケースがあります。拒絶を回避するケースというのは、自らの出願が4条1項11号の拒絶理由が来た場合の対応であり、先願登録商標の権利者と後願の権利者を一旦同一人とすることで同号の拒絶を回避するものであり実務上行われているものです。もっとも、既に自分が使用していた場合には、譲渡を受ける前の過去分については商標権侵害の問題が生じますので、譲渡を求めるか否かについては慎重に検討する必要があります。交渉をすることで結果的に商標権侵害として多額の損害賠償を受けるリスクもありますのでご注意ください。事業と共に商標権の譲渡を受ける場合で譲渡対象に商号商標が含まれているような場合には商標の観点とは違いますが、商号使用について留意が必要です。事業を譲り受けた会社が事業を譲渡した会社の商号を続用する場合、譲り受けた会社は、原則として譲り渡した会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負うこととなります(会社法22条1項)。商号商標を事業と共に譲受け、当該商号商標を引き続き使用していく場合にはリスクを背負いますので、譲り受けの段階で十分な検討が必要です。

 また、譲渡交渉では、相手方がいますから駆け引きが必要となり、利害得失を考えて妥当な譲渡金額となるように調整しなければなりません。また、譲渡に伴うその他の処理も含めて最終的には譲渡契約書に落とし込む作業が必要となります。交渉事や契約の問題は、弁護士が日常的に扱っていることもあり弁理士よりも弁護士のほうに一日の長がある気がします。もっとも、譲渡については特許庁への登録が効力発生要件となっており、この登録は弁理士がほとんど行います。そのため商標権の譲渡においては、弁理士と弁護士への二度の依頼が必要となるケースがありますのでご注意ください。 

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