商標ライセンス契約

GUM11_CL03057 商標権は他人に貸し出す、すなわち、商標の使用許諾(商標ライセンス)をすることや、逆に商標を借りうけることもできます。ライセンス形態としては、非友好的なライセンス(使用中止ができず、以後の商標権侵害を回避するためにやむなく行う場合)もあれば、友好的なライセンス(許諾する者・許諾される者が商標を通じて共に利益をあげようとするものや、親子関係会社間の商標ライセンスなど)もあります。さらに、商標権侵害訴訟上の和解としてライセンス契約を締結することもあります。

 以下、商標ライセンスについてもう少し説明させていただきます。

商標ライセンスの過程

 ライセンス対象として、専用使用権を設定するのか通常使用権を許諾するのか、また商標権者も使用する形の独占的通常使用権とするのか、どのぐらいの期間、どの地域的範囲で許諾するのか等、許諾の範囲(地域、時期、内容等)をどうするのかという点は、自らの事業との関係、市場との関係などを考慮して決定することになります。さらに対価については、専用使用権、独占的通常使用権、非独占的通常使用権とするかによっても異なるのは当然です。

 商標ライセンスの条件は、商標権の譲渡と同様、相手方がいますから駆け引きが必要となり、弁護士が代理して交渉することもあります。相手方に弁護士が付く場合もありますし、会社側と直接やり取りすることもあります。この交渉では、どのような権利を許諾するのか、どの程度の期間、どのような態様で、どのような指定商品に対して、対価としていくら支払うのか等が話し合われます。一般的には、専用使用権を設定する場合、その対価は高額となりイニシャルフィーが必要となったり、ミニマムギャランティーの設定がなされることも多いです。

 ライセンス交渉の結果、合意に至れば、商標ライセンス契約書に落とし込む(契約書を作成する)作業、及び特許庁へのライセンス登録(通常使用権や専用使用権の登録)が必要となります。なお、特許等は当然対抗制度などが創設されており、ライセンシーであることを特許庁へ登録することなしに第三者に対抗できるようになりましたが商標法は従前のままです。したがって、ライセンシー(通常使用権者、専用使用権者)であることは特許庁の登録原簿に登録することが必要ですので、ライセンシーとなる側の立場から、この点は注意が必要です。

商標ライセンス契約書

 ライセンス契約書という点では、特に非友好的ライセンスの場合には、ライセンシーは対象となっている商標権の存在についてよかれと思っていないのですから、ライセンサーの立場からすれば、不争条項(ライセンシーが商標権の有効性を争えないようにする条項)は必須ですし(友好的であっても導入しておくべきなのもいうまでもありません。)、何かあった場合に簡単にライセンス契約が解除し得るようにしておく必要があります。また、ライセンサーの立場では、ライセンシーによる商標の使用をしっかり監督していなければ、不正使用取消審判、不使用取消審判等にて取り消されることにもなりますので、ライセンシーの商標の不正使用時の即時解除権、ライセンシーのライセンサーに対する協力義務(不使用取消の正当使用の立証協力等)なども必要となります。さらに商標のライセンスでは、特許ライセンスとは異なり、ライセンサーとライセンシーが同時に使用すると出所混同が生じ得ることにもなりますので、出所混同をどのようにして防止するのかという点はライセンサーとして考えた上(契約上、様々な制限をかけることも可能)で進める必要もあります。

 上記はあくまで商標権者側、すなわちライセンサー側からの視点ですが、ライセンシーとなる場合には別の視点で契約をまとめる必要があります。

 立場が違えば、契約書の見るべき視点も異なりますので、安易にネット上にある商標ライセンス契約のひな形を使用することは慎んだほうがよいかと思います。勿論、ベースとしてひな形を使用することは漏れが少なくなるため望ましいことですので、ひな形をベースに自社の立場に有利となるよう商標ライセンス契約書を修正していく必要があります。商標ライセンス契約は、商標法の知識と契約の知識が必要となりますので、商標に詳しい弁護士へ相談し、契約書レビューを受ける等したほうがよいかと思います。

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