商標に関する契約のご相談

a0003_001887 商標権の譲渡契約や商標ライセンス契約以外にも商標に纏わる契約はいくつかあります。通常の取引基本契約や代理店契約においても商標の使用の仕方が規定されていることもありますし、OEMなどの製造委託契約、共同開発した商品に関する何らかの契約をした場合なども商標の取り決めをしておくことが必要となることが多いです。共同で商標を使用していたような場合は後述するように後で揉めることがままあります

 未だに人間関係を重視し、契約書を締結しない会社もかなりの数があり、事業分野によっても契約書の作成率は大きく異なります。契約書の存在は上手くいっているときには問題とならず、相手とこじれたときにはじめて効力を発揮するものです。契約書を作成するための時間、費用をかけたくないということは適切な考え方ではありません。弁護士等に作成を依頼するか、弁護士等の契約書レビューを受ける等して、紛争に備えていたほうが結果として費用や労力が節約できることにもなります。そして、契約書作成においては、契約締結時にリスクを想定した上で、考えられるものを記載しておくことが重要なことです。紛争勃発時には契約書の記載に従うことになります。

 以下では、契約と商標と紛争について、弁護士として経験してきた話をさせていただきます。 なお、商標権の譲渡契約、ライセンス契約については、「商標権の譲渡契約」「商標ライセンス契約」をご覧ください。

契約絡みの商標紛争

契約と絡めて商標が問題となり紛争に発展するケースと言えば、契約当事者間で事後的に仲違いし、双方が同一商標の継続使用を欲するというケースです。弁護士への相談は契約の問題も多いため、このような相談が寄せられることが多いです。

具体的には、これまで共同開発を行っていたり、役割分担を決めて製造・販売・宣伝等を行ってきたにもかかわらず、その取り分などが原因で、当事者間で仲違いするケースです。この場合、共同で事業を行う契約書面上に、商標の扱いについて明記されていれば、それに従うことになり、契約上の義務者側がそれに従わなければ、契約上の権利者が義務者に対して契約上の責任を追及していくことになります。

他方、契約書中に記載がなければ契約責任は追及できず不法行為構成とせざるを得なくなります。また、契約が解除された場合も同様です。その場合、商標権を持っている側が権利者ですので圧倒的に有利な立場となり、相手方の商標の使用を商標権侵害であるとして、商標使用の差止請求や商標権侵害を理由とする損害賠償請求し得ることになります。そのため、非権利者側は必ず共同事業の契約書上で何らかのリスクヘッジをしておく必要があると言えます。

もっとも、仲違いしたケースにおいて商標権者の立場にある者が商標権に基づいて権利行使しても、そこに至る経緯等を弁護士が主張立証し、事案によっては商標権の権利の濫用となり、裁判上でその請求が棄却される裁判例も相当数見受けられます。商標権にはいわゆる権利の濫用という抗弁が通用するときがあります。

実際問題としては、契約責任の追及の法的構成がよいのか、商標権に基づく権利行使の構成とすべきか、いずれがよいかはケースバイケースです。有利不利等、弁護士と相談し、あらゆる利害得失を検討した上で、どのような方向で進めていくべきか決定すべきかと思います。

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